ガラス球のひとみは
「自分の体を大切にしろよ」
「俺の体は別に大事なものじゃない」
「おいおい、なんてこと言うんだ。自分で自分のことを大切にしないと、もしものときに自分を守ろうって気が起きないだろ?」
「問題ない」
痛まないきず
「俺は別に怪我をしていない」
ティエリアの言葉に仕方がないなとばかり、ロックオンは苦笑した。
「傷つくのは、なにも体だけじゃないさ」
さいごの恋人
ヴェーダのように妄信するのではなく、ひとりの男として見て欲しい。
「今夜は帰るな」
いつかのように、ロックオンはティエリアの額にくちびるを落とした。ティエリアはただ大人しく、それを受け取る。
痛むきず
ロックオンのことを考えると胸が痛んだ。
さほど傷つかなかった自分の体が――心臓が、握り締められているかのように痛い。こんな痛みは初めてだ。